【誰もやってない?】イタリア語検定の過去問をマックスに活用する方法
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【誰もやってない?】イタリア語検定の過去問をマックスに活用する方法
実用イタリア語検定協会が出版している過去問題集のとんでもないポテンシャルを解説します。
実用イタリア語検定試験を受けて自分の実力を試してはみたいけど、受験対策として本当に効率のいい勉強法ってないの?
実用イタリア語検定試験の過去問題集って、1冊数千円もしたりするんだけどあんなの買う価値あるの?
過去問題集って繰り返しやるべきだとは思うんだけど、実際一回やって答え合わせで解答見たらもうやる気が無くなっちゃうからめちゃくちゃコスパが悪いんじゃないの?
作文問題の模範解答とその訳文を見ると、「なるほど。なるほど。こう書けばいいのか。」と問題なく理解できるのに、いざ試験になるといつも簡単な同じ表現ばかりで、模範解答の様にはいつまで経ってもうまく書けないのはどうして?
本記事では、こういった疑問に答えます。
本記事の内容
- 実用イタリア語検定試験の過去問題集とは
- 実は超コスパがいい!!実用イタリア語検定試験過去問題集
- 過去問題集を購入価格をはるかに超えてマックスに活用する方法
この記事を書いている私は、大学でイタリア語を専門に学び、その後フィレンツェ、シエナ、ローマに通算で15年間在住しました。
これまでイタリアと日本で約1000件近いイタリア語通訳・翻訳案件をこなしてきたプロのイタリア語通訳です。
国家資格のイタリア語の通訳案内士(通訳ガイド)免許と実用イタリア語検定1級、CILS(Certificazione di Italiano come Lingua Straniera)のC2(最上級レベル)の資格を持っています。
通訳案内士としてイタリア人観光客のガイディングの仕事を日本全国で行うと共に、Studio Aria SuperioreというZOOMを使用したイタリア語オンライン教室で、イタリア語検定試験の受験対策講座やプロのイタリア語通訳養成講座で専任講師を努めています。
1.実用イタリア語検定試験の過去問題集とは
実用イタリア語検定試験ってどんな試験?
実用イタリア語検定試験は、イタリア語の検定試験の中で最も古いものかつおそらく唯一のものです。
英検と同じように伊検とも呼ばれ、知名度も一番高いです。
履歴書に書いても、採用先も英検と似たものとしてすんなり理解してくれるでしょう。
英検には準1級がありますが伊検にはなく、上から1級、2級、準2級、3級、4級、5級と6等級あります。
3級の試験までは、あまりひねくれて考えずに学んだ基礎的なことを素直に答えていけば大体合格できるレベルですので、どこの語学学校で学び始めてもいいと思いますし、実際独学でも突破は可能だと思います。
実用イタリア語検定試験を実施しているイタリア語検定協会の公式サイト: https://www.iken.gr.jp/
【関連記事】【必須】実用イタリア語検定試験2級を今度こそ突破【おすすめ参考書】
どこで買える? いくらで買えるの?
実用イタリア語検定試験の過去問題集は、下記のイタリア語検定協会の公式サイトからさまざまな方法で購入することができます。
https://www.iken.gr.jp/tool/index.html#conv
2.実は超コスパがいい!!実用イタリア語検定試験過去問題集
コスパが信じられないほどいい3つの理由
実用イタリア語検定試験の過去問題集のコスパがなぜ信じられないほどいいのか理由を3つ挙げます。
- CDやダウンロードできる音声ファイルを使用して、ネイティブのイタリア人の発音や通常の発話スピードで聞くだけでなく、スピードを変えたりしながら何度でも繰り返し触れられる。
- リスニング問題、筆記問題、長文読解問題、作文問題の各セクションのイタリア語文とその正確な和訳文がすべて書き出されている。
- 文法事項の正確な知識を問う筆記の4者択一問題の解答欄には、ただ答えだけが記載されているのでなく、詳しい文法解説がきちんとそえらえれているので、なぜその答えになるのか、そして他の選択肢がなぜダメなのかがはっきりわかるようになっている。
3.過去問題集を購入価格をはるかに超えてマックスに活用する方法
いよいよここからは、今回の記事の中で一番大事な部分に入ります。
過去問題集を購入価格をはるかに超えてマックスに活用する方法には、次の二つがあります。
- ヒアリング問題と長文読解問題の和訳文を、逆にイタリア語に自分で訳し直してみて、元のヒアリング問題と長文読解問題のイタリア語原文になるかどうかを試してみる。
- 作文問題の模範解答例の和訳文を逆にイタリア語に直してみて、模範解答例のイタリア語文のようになるかを試してみる。
私はこれまでの経験上、この2つの方法が、あなたのイタリア語力とイタリア語的思考の鍛錬に非常に役に立つと断言することができます。
その理由を詳しくご説明しましょう。
この過去問題集に添えられている和訳文は、読んでもらうとすぐ感じて頂けると思いますが、とても日本語としてわかりやすく、読んでいて何の違和感もなくすらすらと読める文章になっています。
ではなぜ、この翻訳文は読みやすいのでしょうか?
はい。それは、我々日本人に読みやすく理解しやすいきちんとした日本語で翻訳されているからです。
「はっ?!何言ってんの?」
「そんなこと当たり前じゃない?」
「問題集の解答なんだから正確な日本語で書かれているのなんか当たり前でしょ?!」
と、おそらく多くの方がいま感じられたと思います。
ここで、私の真意を理解していただくために、ひとつ実験をしてみましょう。
過去問から2つほど例文を以下に抜粋しましたので、よろしければ、まず読んでみていただきたいと思います。
1.「当時はほとんど毎日読書していたものですが、今は何か読むべき良い新刊本を自分のために選ぶ楽しみが私にはありません。」
2.「気まぐれな天気を旗印にした春の後に、ようやく、陽光溢れる日和と高い気温の夏が始まった。」
「実用イタリア語検定2013 1級・2級・準2級」の2012年秋季の2級の問題と解説より抜粋
いかがですか?
読んでみて特に日本語として違和感はないですよね?
意味も明確に伝わりますよね?
つまり、文法的に完璧な日本語の文章だということですね。
では次に、この二つの文章をイタリア語に訳して書き出してみてください。
ー5分経過ー
いかがでしたか?
ちょっと難しく感じましたか?
それともすらすらと訳せたでしょうか?
この2文のもとになっているイタリア語の原文は、以下の通りです。
1.”Allora leggevo quasi ogni giorno, ma ora mi manca il piacere di scegliermi qualche buon nuovo libro da leggere.”
2.”Dopo una primavera all’insegna del tempo instabile, è finalmente cominciata l’estate, con giornate assolate e temperature elevate.”
「実用イタリア語検定2019 1級・2級・準2級」の2018年秋季の2級の問題と解説より抜粋
いかがでしょうか?
ご自身が書かれた文章と見比べてどこか違うところがありますか?
また、同じところはありますか?
1.の「楽しみが私にはありません。」の部分は、イタリア語では、通常「ない」を意味する、”non c’è il piacere” ではなく、 ”mi manca il piacere” となっていますね。
つまり、「ありません。」が、「私には足らない。」を意味する、 “mi manca” というイタリア語独特の表現になっています。
また、2.の「気まぐれな天気を旗印にした春」は、”una primavera all’insegna del tempo instabile” となっていますね。
つまり、「旗印にした春」が、「~の旗印のもとの」を意味する ”all’insegna di” というイタリア語の成句を使用して表現されています。
それでは次に、下記のイタリア語の原文を「自分なりのことば」で、日本語に訳して書き出してみてください。
1.”Si tratta di piccole differenze, d’accordo, ma non sono da trascurare. Col tempo rischiano di accumularsi e creare tensioni sempre più frequenti.”
2.”Questa ossessione può condurre a diete estremamente restrittive e all’isolamento sociale. E’ come se il cibo sano diventasse una sorta di missione morale e tutte le altre sfere di vita passassero in secondo piano.”
「実用イタリア語検定2019 1級・2級・準2級」の2018年秋季の2級の問題と解説より抜粋
ー5分経過ー
さて、皆さんが今書き出した日本語訳文と「解答と解説」に載っている次の文章にはどのような違いがありましたか?
1.「確かにささいな違いですが、馬鹿にできません。時と共に積もり積もって、緊張が走る間隔がどんどん短くなっていく恐れがあります。」
2.「この強迫観念は極度に制限的なダイエットと社会孤立につながりかねない。健康に良い食品が一種の道徳的使命になったのかごとく、それ以外の人生の全領域は副次的次元に移行する。」
「実用イタリア語検定2019 1級・2級・準2級」の2018年秋季の2級の問題と解説より抜粋
着目するべきポイントとしては、次のようなところです。
1.では、”trascurare” =「無視できない」という単語 が、「馬鹿にできない」と表現されています。
また、「確かに」にあたるイタリア語の単語は原文には見当たりませんが、文脈から判断して「確かに」を入れた方がより原文のニュアンスに近いと判断したために、「確かに」という言葉を訳文に入れたのであろうと推測できます。
そして、「緊張が走る間隔がどんどん短くなっていく」は、”creare tensioni sempre più frequenti” となっており、「緊張をより頻繁に誘発する」と表現されています。
また、2.では、”può condurre a” =「~へ導くことができる(可能性がある)」というイタリア語の表現が、訳文では「つながりかねない」と表現されています。
また、もうひとつ注目するべき点としては、”ossessione”が「強迫観念」、 “tutte le altre sfere di vita”が「人生の全領域が」、 “in secondo piano”が「副次的次元に」というように、文脈に最も合致した適切な日本語の単語がきちんと選択されて翻訳されているところです。
このように、初めて見る文章でこの翻訳作業を行った場合は、なかなか上記のようなすっきりとした訳文にはならない時が多いのではないかと思います。
これは、日本語からイタリア語、イタリア語から日本語に訳す場合に「目に見えない障害物」が存在していることを示しています。
その「目に見えない障害物」は、二つの異なる言語間にある文法、成句、慣用句などの違いから生じてしまう、「直訳と意訳の間の微妙なズレ」なのです。
この「微妙なズレ」をたくさん理解することによって、直訳された和訳文だけでなく、意訳された文章からでもイタリア語に翻訳できるようになります。
つまり、日本語独特な表現でもイタリア語的な表現に、そしてイタリア語独特な表現でも日本語的な表現に、自由にスムーズに変換できるようになるのです。
この二つの例文の実験からわかることは、次のことです。
- この過去問題集の解答と解説に添付されている日本語訳は、必ずしもイタリア語の原文の直訳で書かれているわけではなく、日本語として理解しやすい形にきちんと意訳して書かれているということ。
- 日本語にある慣用表現が、そのままイタリア語にも共通して存在している場合もあれば、全く存在していないがために、全く別の表現方法が用いられている場合もあることを、同じ意味を持つ正確なイタリア語文と日本語文を対比することによって違いを見極め、新しい知識として蓄積することができるということ。
これらのことを知ることによって、「日本人はこうゆうときこう言うけど、イタリア人はこう言うな~。」ということがだんだん理解できるようになります。
このように、2言語間にあるさまざまな「ズレ(違い)の理解」を積み重ねることで、イタリア語的思考や、イタリア人的思考を理解することができるようになり、結果として、あなたの「イタリア語理解力」、「イタリア語作文力」、そしてそれらの総合力である「イタリア語通訳力」が向上するのです。
まとめ
イタリア語学習を行う上で、イタリアの新聞や雑誌などの記事を読んで、なんとなく内容を理解できたと思ったとしても、その自分の理解がほんとうに正しいものなのかどうかは、正確な訳文が付けられていない以上、なかなか判定はできません。
また、頭で理解したことを完全な文章に落とし込むのもまたさらに別の作業です。
実用イタリア語検定の過去問題集のように、同じ意味を持つ正確なイタリア語文と日本語文が併記されている優れた教材は、実はあまり存在していません。
これらの2言語の表現を対比することによって、直訳と意訳との間に生じる微妙な違いを見極め、それを新しい知識として蓄積することができるこの過去問題集は、まさしく唯一無二の教材なのです。
いかがでしたでしょうか?
実用イタリア語検定試験の過去問題集が持っている、イタリア語の学習教材としてのとんでもないポテンシャルを理解していただけましたでしょうか?
ややもすると、「えっ?1冊数千円?」、「高すぎじゃない?」という不当な評価を受けているこの過去問題集は、使い方によってはその価格の何倍もの価値と活用性があります。
イタリア語検定協会さんがこれまで何十年にも亘って実施されてこられた実用イタリア語検定試験と、その過去問題集の編纂に注がれている熱意と膨大な労力に対しては、私はほんとうに心から敬服してしまいます。
ぜひ皆さんも、この素晴らしく完成されている実用イタリア語検定の過去問題集を、イタリア語学習の優秀なパートナーとして最大限活用されることをおすすめ致します。
記事を最後まで読んでいただきましてありがとうございました!
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